J-10(殲撃十型)
トランペッター 1/72
J-10(殲撃十型)概要
イスラエルが自国で兵器を作らざるを得ないのは、その国の成り立ちと土地柄、他国の武器援助が必ずしも望めないという所からです。その結果、戦車では「メルカバ」という純国産のMBTを量産化しました。
1980年代、戦闘機でも国産化の動きが出ました。エンジンはアメリカ製で60%米資本出資ながらも国産の戦闘機「ラビ」です。デルタ翼、可動式カナード翼を備えたF-16級の戦術戦闘機として開発されることになったのですが、同様の思想を持つF-16、F/A-18の輸出市場に競合すると考えた米国が支援を打ち切り(それだけではなくパレスチナ問題が絡んでいたのだと思う)、ラビの計画は頓挫してしまいます。
その頃、中国では旧型化し、数だけの優位性だけになっていた空軍の近代化を図るため、第4.5世代戦闘機(フランスのラファール、スウェーデンのグリペン、ユーロのタイフーンなどのフライバイワイヤ、CCV技術を盛り込んだ多用途戦闘機)の開発を模索し始めるのですが、いかんせん当時の中国ではフライバイワイヤやCCV技術はもっとも遅れている分野であり、それを手っ取り早く解決するためにイスラエルからラビの開発に関わった技術者を招聘し、新型戦闘機の開発をすることにしました。(中国側は認めていないので憶測なのだが、大方そういう見方で一致)その結果、生まれたのがこのJ-10(殲撃十型)です。
天安門事件で西欧のエンジンとアビオニクスを手に入れることが出来なくなり、J-10の行く末は暗礁に乗り上げたとみられましたが、ソ連邦崩壊後のロシアとの関係が改善されめでたくエンジン&アビオニクスを手に入れることが出来、中国は念願の新型戦闘機を手に入れることが出たのです。
J-10(殲撃十型)の製作
トランペッターのキットです。多分、J-10だと唯一のキットだと思われます。
段ボールの箱に中に仕切りをつけ、透明部品を保護し主翼の両端を保護するためエアキャップで梱包。過剰包装とも取れかねないのですが、これはこれで好感持てます。しかし、ぱっと見出来の良さげなキットですが、よく見るとちょっと運河彫りぽいし、機体表面は結構荒れている部分が見受けられます。せっかく保護した主翼の両端はエルロンが主翼端まであることから意味がないなど中途半端なキットであります。
また、先行量産機をキット化したのか量産機と違う部分が見受けられ(前脚格納部の扉、細かいアンテナ類)、量産機を作るには注意した方が良さそうです。
量産機は結構地味な塗装なので、一番色数が多く資料的に揃った「1003号機」を製作しました。
インテーク内の奥行きがないのでプラ板を曲げて奥行きを作り、インテークと胴体の間にある整流板(?)が実感ないのでプラ板の帯で作り替えました。脚周りが腰高なので伸縮部分を短くしました。前述の通り主翼のエルロンは主翼の端まであるのでそれを再現。
塗装は試作機に見られた一段濃いグレーの二色迷彩。デカールはキットのモノだと黄色にオフセット印刷特有の斑点が出ているので自作。機番号も「1003」にしました。ミサイルはイナート弾に塗られている赤色です。
詳しい製作記はこちらにあります。→J-10(殲撃十型)の製作記
J-10(殲撃十型)の製作を終えて
もともと、J-10を店頭で見たとき「これでラビに改造するのがたやすくなるかもしれない。」と思って買ったのですが、いざ家帰ってラビの三面図と比較するにつれ、似ているようで非なる機体に「駄目だこりゃ」と思い、押し入れの肥やしになっていた機体です。
ラビに似ているのですが、主翼形などはMiG-21の影響があるように見受けられ、エンジンの太さがちがうし、インテークもラビはF-16なのですが、J-10はタイフーンのような四角タイプです。中国なりの解釈で作られているのがわかります。
一昔前だとこんな機体は自作するしかなかったからある意味、いい時代になったのでしょうね。プラモで楽しめるだけの機体であって欲しいです。