F-4D PHANTOMII(ファントムII)
ハセガワ 1/72
F-4D PHANTOMII(ファントムII)概要
F-4ファントムIIは元々、海軍の発注した全天候超音速戦闘機でしたが、F-107以降のセンチュリーシリーズがことごとく失敗し、F-111の開発の遅延で実質、F-105の後継機を待てない米空軍がF-111までのつなぎのつもりでテストしたF-110(F-4の米空軍の呼称)に虜になり、最終的に米海軍それより3倍も発注してしまったという曰く付きのものです。A-7でも同じような顛末があり、戦術戦闘機に対する米空軍の詠みの甘さが露呈していた次期でもあります。その後はF-16という傑作機をたまたま生み出しますが、これもF-15の機体価格上昇とF-16が攻撃機としての転用の効くある意味で余裕がある航空機であったことに尽きるのではないかと。もともとF-16は米空軍が興味の無かった軽戦闘機でちょっとコンペをしてみようかというところから発生していますし。
そもそも当時の米空軍は純粋な制空戦闘機を求めてはおらず、むしろ戦術戦闘機すなわち、攻撃機を重視していました。核爆弾を運べる超音速戦闘機です。もしくは、ソビエトの爆撃機から自国を守る超音速戦闘機。まあ、その点においては兵器搭載量の多いF-4は米空軍が欲していたモノですし、スパローとサイドワインダーを搭載できる空母を守るミサイルキャリアーとして誕生した航空機ですから防空任務に使えます。F-110としてセンチュリーシリーズとして採用しようとしたのも分かります。
機銃がない戦闘機として出発したのはミサイル万能時代でそもそも、爆撃機に対する戦闘機という考えからだったのですが、投入されたのはベトナム戦争。おまけに交戦規定が肉眼での確認前提と対戦闘機戦なのでスパローは不利だし、いざというときに機銃がないのことにパイロット達の不満があったらしいのですが、センターパイロン下に取り付けたガンポッドや機首下にバルカン砲を取り付けたE型でもさほど、機銃での撃墜は多くなく、パイロットの最後に機銃があるという心理的安心感の方が大きかったのでは無いかと思われます。
F-4D PHANTOMII(ファントムII)の製作
昔、15年ほど前にF-4Eを製作しました。確かエアブラシを手に入れて初めて迷彩塗装をしたモノです。エアブラシ塗装の右も左も分からなく、模型誌などの見よう見まねで塗ったのですが、今の目で見るとどうにも評価のしようがないくらいへたくそで。
リベンジしようと思ったのか、はたまたその時部品取りをしようと思ったのか覚えちゃいないが、F-4Dが押し入れにあるのを発見。お手軽に作ることに決定したのでした。
お手軽ですが、最低限の処理はしておきました。古いキットでバリやヒケが多く、ファントムファミリーの各バージョンに合わせるため、パーツの分割が多いです。機首と胴体は説明書通りよりも片面づつ接着して、後で全体を合わせる方がズレが少なくなって良いです。インテークの中身(特に下面)は主翼パーツの裏が丸見えなので、処理をしておいた方がいいと思います。細めのインテークで外側が内側に傾いているので、見えにくいのですが、見えるので。
最終的に6機の撃墜の記録を持ち、ベトナム戦争で米空軍初のエースになったリチャード・S・リッチー大尉が搭乗した機体、「67463」のデカールが入っていたのでそれで。垂直尾翼の翼端とキャノピー下の緑はもっと濃い色にも見えるのですが、どっかでこれくらい薄い色の写真を見た気がするので。色味が増えていい気がするしな。ああ、参考にはならないので参考にしないで下さいな。詳しい製作記は「1/72F-4DファントムII製作現場」で。
F-4D PHANTOMII(ファントムII)の製作を終えて
棚にあった同じくらいの大きさの米軍機を並べてみました。クルセイダーとファントムは同じ米軍艦載機。ヴードゥーとファントムは同じマクダネルの機体です。
ファントムは同じ艦載機でマクダネル製のデモンと並べると設計思想の流れが非常によく分かるのですが、ヴードゥーでもエンジンノズルから離したスタビライザーなんかがイーグルまで(ホーネットもか)のマクダネルの流れが分かる感じで面白いです。
太くて短い鼻先のファントムは寸詰まり感があってあまり好きではなかったのですが、これはこれである意味での迫力があって格好良く見えてきました。