最後から二番目の真実 (2012年7月29日)
ディックもここまで読むと話の稚拙さやプロットの破綻などがでてきて、なんじゃこりゃ?で終わってしまうモノも多いのだが、これはこれでディックらしい小説なので、それなりに読めました。冷戦に対する底知れぬ恐怖感は多分、50~60年代の方が強かったと思われ、政治や世間のある種の偽物臭さも今よりも強かったのだろうと思われる。ディックがいささか病的な被害妄想癖があったとはいえ、当時の冷戦構造はまさにその、被害妄想で被害妄想が最後の一線を踏みとどまっていたからこそ、その疑心暗鬼が強まったのであろう。
嘘くささというのは今の方がよっぽど強いが、その嘘くささがしょぼくなり、さらに最後の一線をすぐに踏み越えてしまうからこそ、しょぼいのに結果は悲惨というスパイラルに落ち込むのだろうな。
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