トリアージ (2007年4月25日)

久しぶりに時事ネタ。

別に何か脅されていたとか、嫌がらせにあっていたとかではなく、そこまで手が回らなかっただけです。
最近だけでもいろいろありますねえ。拳銃を使った犯罪やら(米国の乱射事件は時系列が一緒なだけで問題の根本は全然違いますね)、統一地方選やら。
なんかどれもすぐ答えが見えてくるようなわかりやすい事件なので書く気もしませんでした。

福知山線脱線事故から今日で2年。毎日通勤で電車を使うことはないにしろ、やはり電車は使うので、そのまんま東のネタよりもこっちの方が10倍くらい(もっと多いかな?)気になります。
今回、NHKスペシャルで「トリアージ」を取り上げていました。トリアージは大規模災害で最大限の生存者を確保するために決めた法則で、トリアージタグというモノを使います。それには0~4のランクがあり、それぞれが0から黒、赤、黄色、緑とつけられます。順に黒は死亡もしくは救命不可能、赤は命に関わる状態で救命が必要、黄色は命に関わる危険性は少ないが搬送が必要、緑は救急で搬送の必要がない軽傷と分類されて搬送の重要度は赤→黄→緑→黒となります。
普通の状態だと黒の状態でも医師や救急期間はなるたけ蘇生や救命を試みますが、大規模災害などの状態では助けることが出来る可能性が高い人を助けるという「切り捨て」が行われます。
こういう制度は感情部分がどうであれ、きちんとしておくことは大切だと思います。

しかし、切り捨てられる側にとっては苦痛でしょうね。人間一人で生きているとは皆無でその人にはよっぽどの嫌われ者ではない限り、いなくなると困ったり、悲しんだりする人がいるわけです。そういう周りの人達にはどうしてもわだかまりが残ってしまうと思うのです。
通常だと等価値だと言われる命がそういう場では明確な差が出てしまうわけですから。

戦場ではトリアージが当然の如く行われますが、映画とかでも再現されているとおり腕一本なくなったくらいでは「軽傷」です。そうでもしないと戦場では全て搬送対象となってしまい、トリアージの意味がなくなるからです。
非常事態とはいえ、戦場と災害現場での命を救命するという行為を一緒くたに考えてはいけないと思います。戦場は人の命がもっとも軽い場所、もっとも人の権利が失われるところです。

僕自身は自分はさして世の役に立っていない人間なので、自分の身体が生きようとする反応以外は無価値だと思っていますが、全ての人間が等しく無価値だとは思っていないので、なるたけもっとも良い「トリアージ」を行って欲しいモノであります。

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Wrote by ぷー /コメント (4)

コメント

TOMさんの所でも書いたんですが、こういうことはやはりルールをきちんと決めておかなければなりません。
現場のスタッフが「黒タグ」を付けなければならない時のストレスやプレッシャーは想像を絶します。
誰だって「赤タグ」を付けたいはずです。
ですがそれを言い出したら医療そのものが崩壊してしまいます。
タクシー代わりに救急車を呼ぶ連中のツケがこんなカタチで降りかかるのは許せません。

投稿者 む : 2007年4月27日 03:55

理屈はそうです。
特にトリアージなんかの制度は論理で決めなければなりません。
大規模災害なんかは感情論で左右されると、起こる結果が良くないこともあるかもしれません。
しかし、この手のモノってその事象に直面した人にしかわかり得ないことじゃないのかと。ほんとは外野がとやかく言うもんじゃないから。
医者も被害者もそれが最良だとは思っていないはずです。

しかし、それを認識する必要性はあると思います。

>タクシー代わりに救急車を呼ぶ連中のツケがこんなカタチで降りかかるのは許せません。

これはその人の良心の問題でそれがない人が増えているだけなのでどうしようもないです。有料化なりで対処するしかないですね。悲しいことですが。

投稿者 ぷー : 2007年4月27日 14:55

事故をおこす前年04年に、環境イベントや見本市、講演会などで「サスペンションやダンパーやエアバックとブレーキを簡易化、小型化して車体を軽量化し、運行エネルギーとCO2の削減で環境保護に寄与していきたい」  と、元気に発表していました。

事故後の検証番組で専門家が「なんでこんなに弱くなっているんだ?」  「なんでこんなに小さくなったんだ?」  「なんでこんなに細いんだ?」  「なんでこんなに厚みがうすくなったんだ?」  と、
指摘をしたのとおなじ部分の“改善”をネットのJRのサイトでみつけたので云っておきます。

投稿者 katamachisen : 2009年3月15日 16:30

katamachisenさん、初めまして。

車両の高速化にその辺りの部品の小型軽量化は必要不可欠だと思いますが、それに対する限界値を厳正に受け止めて運用していたか、それを運用する側全員が認識していたか?というところが問題な気がします。ハード的な設計ミスなら似たような事故が続発していたはずですし。
何にしろ、行き過ぎた要求、設計があったのかもしれません。

体質の問題の方が大きい気がしますが。

投稿者 ぷー : 2009年3月16日 03:20

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